書評タイトル:原因と結果の関係
氏名: 片倉 望
原因と結果の関係については、西洋では著名な研究としてヒュームの経験主義の
立場からの分析があり、東洋では「因果応報」に纏わる仏教の業思想に関連した無数の論考があ
って、個別研究、著作の類いは枚挙に暇が無い。しかしながら、古今東西、すべての因果を比較
対照しながら通観できる書物は意外なほどに少ない。 本書はその稀なる好著であって、人生の
中でふと立ち止まった時に、さらなる一歩を踏み出すために、貴重な助言を与えてくれる可能性
を秘めた一冊である。本書の「まえがき」には、「因果は,われわれ人間が行う世界把握とそれ
に基づくわれわれの行為をその根底において支えている概念である。そして、そうした概念の意
味を問い直すことは、われわれ自身の姿を問い直すことでもある。」と記されているが、まさし
く自らを鑑みる神器として本書が一読されることを期待してやまない。
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