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温泉とは何か

ー温泉資源の保護と活用ー(増刷版)

2013年2月20日刊

森 康則著

A5判146頁、本体価格¥2000+税 IISBN978-4-903866-16-1 C3044







            目次
 
▼まえがき/
1. 温泉の基礎
・温泉成分の分析と掲示・温泉の定義・
 温泉資源の特性・温泉の分類・療養泉と
 線質・禁忌症、適応症と注意事項・温泉
 法に定める許可/
2. 温泉付随ガス中の可燃性ガス・災害リ
 スクの低減・炭化水素の起源・可燃性天
 然ガスの濃度の単位・測定方法と基準値
・安全対策・温泉付随ガスの有効活用と背
 景・石油代替エネルギーとしての実用化
 検討事項・総括/
3. 温泉掘削規制の妥当性・温泉資源の枯
 渇リスクの顕在化・温泉法の立法趣旨・
 行政訴訟の判例と課題・距離規制の妥当
 性・温泉資源の保護に関するガイドライ
 ン・温泉資源賦存に関するデータの必要
 性・距離規制の有効性に関する実例研究/
4.集湯能力調査と影響調査の目的・集湯
 能力調査の実施方法・影響調査の実施方
 法・調査結果の解釈・集湯能力調査と影
 響調査に関する事例研究・総括/
5.温泉療養と健康作り/索引/用語解説
                        

作者:コメント
          

           

要旨:著者

           温泉は「有限の資源」である

本書の標題である「温泉とは何か」に対する答えは、まさに十人十色です。温泉に関わる
立場によって、その各々の考え方によって、そして、その社会背景や技術レベル、時代の
ニーズによって、その答えは異なります。

  しかし人間、とりわけ日本人は、温泉を長く「資源」として活用してきたことに変わり
はありません。現代でも、温泉資源は、水資源、天然資源、地域資源、観光資源、燃料資
源、健康資源、熱資源など、様々な側面の「資源」として既に活用されていることは、周
知の事実でしょう。

  そこで本書では、この温泉の「資源性」に着目し、「温泉資源を有効活用するにはどの
ようにするべきか」という課題について、科学的見地から整理しました。本書では、浴用
としての一般的な利用だけでなく、温泉付随ガスの測定方法や安全規制、天然ガスとして
の石油代替エネルギー活用のための可能性検討調査事例、また、温泉の健康づくり資源と
しての高齢者医療への活用事例や健康資源として活用していくための制度などについて紹
介しています。

そしてさらに、温泉資源のもうひとつの側面のである「有限性」にも着目しました。我が
国では、乱費のたとえとして「湯水のごとく」という慣用句があるように、資源量が豊富
であるがゆえに、温泉資源が「利用すれば減っていく」ことを考えず、その有限性が意識
される機会が少ない傾向にありました。このことから、長年の温泉の汲み上げにより、著
名な温泉地でさえも、温泉資源の枯渇問題に頭を痛めている事例があります。

そこで、本書では、温泉資源の将来的な活用の在り方として、「温泉資源の保護」の課題
についても、科学的見地から整理しました。本書では、資源保護のひとつの方策である段
階揚湯試験などの調査方法や結果解釈、温泉資源の枯渇に係る行政訴訟の判例、温泉資源
の枯渇リスク低減のための研究成果などを紹介しています。

本書は、自然科学を履修しようとする初学者、温泉の利用や管理、掘削、分析、資源調査
などに従事する事業者、温泉法などの行政担当者、温泉科学や地球科学に興味のある方々
を主な対象とし、温泉資源に関する科学的な基礎知識や定義、またはそれらに関連する研
究の知見を、できるだけ平易に解説した入門書です。本書に書き連ねた内容によって、そ
の各々が求める「温泉とは何か」への回答の一端に触れることができれば、幸いです。



                                      

書評タイトル:

氏名:

                                  
  
       
                               




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